この1年で5回は行っている刀剣博物館さん。
せっかくの刃文別の展示だったので気になった刀剣を中心にまとめました。
あと、明石国行についてちょっとだけ調べてみました。
一言レポート
今日は刀剣博物館。明石国行をようやく見れた。刃文の違い特集だったので見比べるにいい展示だった。ふだん見ない青江の古青江もみれたので満足だなー。結局、光忠が凄すぎることを知るんですけどね(好み)。
— ないな (@poponainai) February 20, 2016
また開催中に行きたい展示。 pic.twitter.com/4FRVJmz9Su
まとめ
- 刃文別の展示のため、刀剣ごとの比較がしやすかった
- 明石国行を筆頭に来派、青江派と見たい刀がそろっていた
- 新藤五国光もいいけどやっぱり光忠が一番好きだなー
刀剣博物館とは
説明不要と思いますが、日本美術刀剣保存協会が運営する刀剣専門の博物館です。
各時代・各流派の名刀約200振を保有しているそうです。
最寄り駅の、小田急線 参宮橋駅 から訪れる人が多いかと思います。
新刀剣博物館
あと、来年引っ越し予定の新刀剣博物館ですが、建物のサンプルもしっかりおさえました。思ったより広い感じの場所になるんだなー。 pic.twitter.com/RqebJyRopi
— ないな (@poponainai) March 21, 2016
来年は両国にお引っ越しするそうです。
また、それにあたり会長さんからは初心者に向けたうれしい方針が書かれているので必見です。
公式情報(PDF)
日本美術刀剣保存協会の新刀剣博物館に向けた方針は必見!
— ないな (@poponainai) March 30, 2016
刀剣ブームの追い風を感じ、愛刀家をを育てる原点に立ち返り、現在の入札鑑定中心の脱却をはかる初心者向けの鑑賞の狙いが感じられます。来年が楽しみですね!
PDFですが、どうぞ。https://t.co/neXP9h9zyf
刃文 -一千年の移ろい-
刃文特集でした。気になった刀剣を中心に刃文について少しふれたいと思います。
写真は禁止なので、パンフレットより一部参考にして紹介させていただきます。
公式に今回の展示の一覧があります(PDF)。
直刃
その名のとおり、まっすぐな線が入ったように見える刃文ですね。
大別すると、3つ。
細直刃、中直刃、広直刃です。
今回の展示では、元々好きな新藤五国光の短刀(中直刃かな?)と来国俊の太刀が気に入りました。
短刀といえばってぐらい国光は有名です。来派の中では一番好きな国俊は今回も鑑賞を楽しみました。
青江は定番の地鉄の縮緬肌に古青江の展示の比較を楽しみました。
互の目
ぐのめ
です。丸い碁石の連続のような刃文のことを言います。
こちらは、時代は特にそろえず様々な特徴的な4振。
特に注目したのは虎徹。長曽祢虎徹入道です。
ひょうたん刃と虎徹帽子
さすがに有名どころだけあって、キャプションには虎徹の特徴が書かれていました。
調べたところ大小の連続性を作ることでひょうたんのような刃文を彩っているとのこと。
虎徹帽子は横手すぐ小丸にかえるとありました。くるんとしていて特徴的でしたね。
丁子
ちょうじ
です。丁子の実と聞いてもその原型はピンとこないかもしれませんがその形の連続性です。
長船派に多く見られ、私の大好きな光忠もこの特徴がよく出ていますね。
この刃文になると他の刃文と違って規則性以上に不規則性を持ちます。
例えば、蛙子丁子(かわずこちょうじ)、つまりおたまじゃくしのような形の刃文。
重花丁子(じゅうかちょうじ)といった丁子が重なった激しい刃文。
また、乱(みだれ)がついたり小丁子だったり、同一の刀に複数の特徴が見受けられます。
このラインナップに古青江と光忠がいたので夢中でした。一番長く見ていました。
二振りは沸と匂がハッキリ出ていたので比較もしやすかったですね。
のたれ
規則正しく波打った形をしています。
私は相州伝を思い浮かべるですが、今回は、新刀が多め。
西の定番の津田越前守助弘に注目していました。
濤乱刃
とうらんば
ですね。のたれの波をさらに激しくした助弘。
見ていてとてもわかりやすい刃文をしています。三波?ぐらいしかなかったと思います。
寛文7年(1667年。このとき31歳)と延宝九年(1681年)の二振りを比較することができましたね。
尖り刃
互の目の変形で先がとがった形をしています。
このくくりで展示物を見たのは初めてでした。
2振だけですが、そのうちの一振りが好きな二代兼元こと孫六兼元でした。
三本杉
尖り刃3つが一組になって見える刃文です。
とてもきれいで今回の展示では、三本杉が4,5本はえていたような刃文でしたね。
現代刀
有名な刀工の方々の展示、とくに直刃の俊平さんは最高でしたね。
大隅俊平さんですかね?
あとは、宮入行平作、太阿月山源貞一作、傘笠両山子正峯作と続きます。
宮入、月山の名にぴんとくるかたは多いとは思われます。
本人ではないですがとうらぶ界隈なら、燭台切光忠や児手柏の写しの話の名の方で昨今では有名かと。
明石国行
他の刃文の見せ方とは別に特別な場所でお迎えしてくれた明石国行。
この機会に一度調べてみました。
特徴
- 鎌倉時代中期
- 刃長:76.5cm
- 反り:3.03cm
- 生ぶ茎
- 腰反り高く踏ん張りがある
- やや細身
- でも、鎌倉中期の典型の太刀姿
- 鍛(きたえ)
- 小板目肌立ちごころ
- 刃文
- 広直刃調
- 小乱れ
- 小丁子交じり
- 雁股(かりまた)風 ... 蕨手(わらびて)丁子
- 足・葉入り
- 小沸つく
- 地刃よく沸づき
- 帽子がのたれごころに大丸風
- 樋中の三鈷付剣の浮き彫りが時代も同刀工としても珍しい
- 播磨明石藩主 松平家伝来の一振り
- 号に明石がつく由来元
- 山城伝
- 来派
- 国宝 太刀 銘 国行
- 同工唯一の国宝
来国行
- 来派の実質的な祖
- 現存する作のほとんどが、太刀
- 身幅が広いか、まれに比較的細身か
- 粟田口派と比べると、直刃基本だが、身幅は広く鋒もやや大きく鎌倉時代風
- 直刃というより直刃調に変化が見られる
参考書籍
山城伝といえばこの一冊ですね。
- 作者: 田野邊道宏
- 出版社/メーカー: 目の眼
- 発売日: 2015/11/15
- メディア: 単行本
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最後に
今回の展示は非常に初心者向きだったと思います。
展示の意図がつかみやすく、今回まとめてみてよりそのわかりやすさが際立ちました。
私もようやくこれらの特徴がさっと浮かぶ程度にはなってきて最近鑑賞が楽しいです!