桑名宗社であの漆塗りの村正が本来の刀の姿となって展示される!
桑名市博物館で展示されていた村正と聞くと記憶に新しい人もいるかもしれません。
この博物館の村正展で神社由来の刀の中に漆塗りという珍しい村正が展示されていました。
いつかこの漆が落とされて在りし日の姿が見えると皆が願っていたらその日が訪れたのでした。
一言レポート
桑名宗社で漆を脱いだ村正。
— ないな (@poponainai) 2019年10月20日
天皇陛下御大典記念の刀剣「村正・正重」の特別公開。
予想外の人で講演が三度も行われた。特別御朱印は22日までちゃんと数は用意とのこと。
撮影可能エリアは限定。諸注意なしで撮影ご注意。新しく研がれた地鉄美しい村正も沸の強い正重も魅力たっぷり。#とうらぶ男子 pic.twitter.com/Uc4sOCJ93I
まとめ
- 漆塗りの刀は村正・正重の二振。合計四振のうちそれぞれ一振ずつ研がれていた
- 神社さん側もびっくりする人数で御朱印に講演にと入館がそもそも行列と大盛況
- 展示の村正も正重も奉納刀にふさわしい立派な状態で現代によみがえっていた
桑名宗社で3日間限定展示
展示タイトルは御大典記念事業「村正」特別公開。
記念すべき日に合わせて令和元年10月20日(日)~22日(火)までの限定公開です。
戦中、手入れができない苦渋の中で錆よけにと刀に漆を塗って保管した歴史がありました。
そして2019年。74年の歴史を経てついにその漆が落とされるときが来たのです。
展示場所は三重県桑名市。桑名宗社内の会館。桑名駅から歩いて行ける距離です。
桑名と言えばはまぐりに村正。
桑名市博物館では過去に刀剣乱舞コラボで村正の刀剣男士パネルが置かれたこともありました。
toukenranbudanshi.hatenablog.com
桑名市博物館で村正Ⅱ。これでもかと村正を見ることができるうれしい展示。ライティングのよさに少し涙でた。感動。高さもいいし槍の刃文もよく見える。解説もユニークであきない。22の村正が好きだけどイチオシは妙法村正の破綻のなさでしょ。刃文の変化に帽子キレイで何より肌のつみ。#とうらぶ男子 pic.twitter.com/rkKRcY1sPA
— ないな (@poponainai) 2018年11月3日
参考までに前回と前々回(2016年)の桑名市のレポートを載せておきます。
当日
展示初日。日帰りで名古屋駅まで。関西本線で桑名駅を目指します。
降りたらバスでもいいのですが徒歩で周りの景色に地元のようななじみを感じながら散歩。
数回しか来ていないのですが謎の実家感。それが桑名です。
(このロゴマークどっかで?と思ったら図録の後ろのと気づかされました。)
桑名宗社の初日展示の様子
11:00から講演があると聞いていたので10:45頃に到着。
お参りをして入り口に向かうと会館に向かって行列ができていました。
とりあえず並んで周囲の人と話をすると今は人が多くて入場制限とのこと。
展示も講演も御朱印も同じフロア内で行われるということが入ってみてわかりました。
講演はすでに10:15に一回行われているとのこと。想定外の人数に臨機応変対応の様子。
約束はできないけど...とおっしゃってましたが合計3回(11:00に11:45)も講演が開かれました。
展示はこの5振と拵です。桑名市博物館に寄託(預けている状態)。
なおこの用紙は11:00までは青色の紙で配られていた様子ですが足りない勢いとのこと。
私は11:45頃の講演をもう一度聴くときに新しく刷られたこちらの紙を頂きました。即印刷だ!
村正と正重
中に入ったときは11:00の講演が始まるタイミング。
講演を聴きながらじっくり鑑賞をしていました。
入り口に短刀二振。写真撮影OK。漆が落ちた村正と正重は撮影不可でした。
この短刀の村正。下段を見てください。銘の二代っぽさに肌立ちに刃文も特徴的。
たなご腹の茎もこう角度をつけて見ると全体のふっくら感も含めて魚っぽさが伝わります。
これを目に焼き付けてから今回のお目当ての村正を見ると鉄のよさにびっくりしますよ。
村正と正重の感想
過去の桑名市博物館の村正の特別展示の図録を参照すると元の姿とあわせて想像しやすいです。
村正の特長は語り尽くされているので正重を。
初代は室町。桃山期から連銘が続きますが今回は寛文。大ぶりの銘が特徴だそうです。
1. 勢州桑名郡益田庄藤原朝臣村正作 / 天文十二年天癸卯五月日
二振のうちどちら?となりますが目釘孔が一つなことに注目しましょう。
なんといっても地のよさ。鉄がいいと感じる肌のよさです。
刃文も作為的でありながら繊細。刃縁の沸の出方が上品なんですよねー。
研ぐ前では想像もできなかったできの良さに驚くばかりです。
ともに展示された 四升花繁文錦包系卷太刀拵
が似合うふさわしい刀とわかります。
帽子が一枚帽子風との解説のとおりで返しが即なのも個人的にすすどさに魅力がいって好き。
3. 勢州桑名藤原千子正重 / 寬文二年壬寅正月三日
こちらも解説の野趣味のとおりで沸が強調されています。
一つ一つの変化が焔(ほむら)っていていいですね。
じーっと一箇所ずつ見ても多彩な刃文を見せて楽しめました。
注目ははばきの新調でしょう。
漆つきの白鞘から新しく研いだことにより必要となった新調の白鞘。
それにあわせて銀鎺をそろえられたそうです。
こちらは 4. 勢州桑名藤原千子正重 / 寬文元年辛丑十二月吉日
ともに展示。
違いは 春日大明神
の彫のありなしですね。漆側にありまして確認できました。
寛文とあるように江戸にさしかかってますね。
焼け身の刀たちも
去年の冬に発見されたとのこと。
焼け身の刀身が発見されたのは去年の夏とのこと。今年にかけて調査され、それぞれ管理されデータもファイリングされて公開。こちらも撮影OKのエリア。
— ないな (@poponainai) 2019年10月20日
色や曲がり具合を見ていても棟がはっきり姿がはっきりしている点があって生々しい。薙刀が多かった。 pic.twitter.com/7gutI6eJAR
実物が燦然と並んだ姿にびっくりですが、それ以上にこの状態にまで仕立て直したことが驚き。
もっと曲がった状態で箱におさまっていたようなんですよね。
フォロワーさんらと合流して多度大社
観覧中や後にちらほら知っている人を目にしていました。みんな来てるなー。
合流予定のフォロワーさんだけでなく現地でいろんなかたとわいわい。